3つのコンセプト

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1,建物の本質や本来の意義にこだわる

建築はその本来の使われ方や意義、つまりその建築としての本質に基づくことが最も大切であると私たちは考えます。
建築には調和された色や形より大切なものがあります。それは本質に迫るアイディアから発信するエネルギーであったりする。たとえばモダンな我が家を創ることよりもその中に幸せを育てるための朝の工夫を取り入れる事を考える。斬新で心地よいデザインの店舗を創るより泥臭くとも集客の戦略に挑むことです。利益を上げるという本質があるからです。よく言われるオフィス空間には癒しよりむしろこれから始まるビジネスの世界に挑む緊張感が必要ですし、クリニックでは“治る”為の建築空間という課題に挑戦したいと考えています。

固定概念を捨て、建てようとするその本質にこだわると、エコや、健康的な事や、投資空間としての存在など一般的に問題とされているほとんどの事なども一緒に解決できます。
私たちはいつでもその建物を建てるための本質に立ち返り、大きな視野で新しい発想にチャレンジしていきたいと考えています。





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2,建物の質を一変させる物語を作る

物語が作られるとその建物が見違えるように変化します。空間に音楽がかけられると雰囲気が一変しますが、物語が根底にある空間は本質が変わります。つまりその建物として活き活きとしてくるのです。ですから建物を設計するときには、まずその建物で繰り広げられる物語を考える事から始めます。
たとえば住宅‘外で暮らす家’の場合はこんなストーリーから始めました。
・・・・・・・・・8月の朝。テラスのテーブルに置かれたガラスのコップの氷に木の葉越しの朝日がまぶしいほどきらきらと輝く。いくつもの氷がいっせいに弾けコップの中で踊る。そんなガラスのコップの風景のひとときに幸せを感じるのはカハラヒルトンの川端康成だけではないだろう。そうだ朝が中心のダイニングを作ろう。
それから穏やかな朝には早朝の神社の神聖さも取り入れたい。一日に一度くらいは真面目な自分に向き合う。お香が漂う和室を我が家の聖地にしリビングから眺められる上段に鎮座させよう。
そして皆が集まるリビングは外の石畳の床にソファーを並べることにする。近くに暖炉があるならショパンをかけよう。遠くでオムレツがピチピチと焼ける音で朝の第二幕が始まる。
家を出るときはまさしく一日のスタートだ、堂々と出かけたい。トイレの前も洗濯機の前も通らず本拠地リビングから出発する。朝の出だしが気持ち良ければ素晴らしい一日が待っているはずだ。
これから我が家はどんどん良くなっていく。

商業空間‘和食のまほろば’をつくった時にはこんな事を考えた。 ・・たまにはゆっくりと親しい友人と懐石料理を食べたい時がある。贅沢をするのだから質素な数寄屋風もよいが殿様気分になれるところが好い。今日は偉くなって食べたいのだ。昔日本には天平文化という華やかな文化があった。優雅で気品があり粋な時代があった。少し忘れられている。文化的な豪族もいた。もしも華やかりしき頃の藤原家の別荘地で日本酒を一献やりながら、箸をつつくことができれば、その食事は至高の晩餐になる。贅沢が幸せに変わる瞬間である。そんなストーリーが似合う和食レストランを作ろう。そう考えた事がスタートでした。





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3 クライアントの成功に一生懸命

私たちの一生懸命は形骸化されたものではありません。建築に携わる者としての良心に基づき、良い物をつくるというチャレンジ的な、精神から来るものです。マーケッティングも重要ですが固定観念に縛られない事はもっと大切なことだと思います。あらゆる先入観を持たず、そして妥協は最小限にしたいと頑張っています。
訂正がしにくい世の中になってきました。順調にスムーズにいくことが主たる善とされています。しかしながらおよそ順調とはたくさんの妥協の上にこそ成り立つものです。元来物事はそんなにうまくはいかないのです。立ち止まったり、後戻りしながら進むものだと思います。もちろんハードルを下げてスタートすればそんな心配はいらないのでしょうが。
それでも考えて済むものなら考え通したい。途中で間違えに気が付いたら訂正もしたいし、進化もさせたい。私たちは仕事を進めていく中で起こる多くのネガティブな意見や、常識には挑戦するだけの価値があると考えています。そして大概の本質の答えとはかけ離れているネガティブな意見も一つのアイディアや丁寧な思考で解決できると信じます。
私たちの建築への情熱は純粋です。きっと力になれると確信しています。





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